ジョブチューンガスト結果2025。1位がまさかの不合格?

ジョブチューンガスト結果2025

多くの人にとって、「ガスト」のようなファミリーレストランは、手頃な価格で安心できる味を提供する、身近で信頼できる存在です。しかし、それを「グルメ」と呼ぶかと言われれば、首をかしげる人も少なくないでしょう。そこにあるのは、驚きよりも「いつもの味」という安定感かもしれません。

そんな私たちの日常的なメニューに、超一流のプロ料理人たちが厳格な基準で審判を下す人気テレビ番組が『ジョブチューン』です。彼らは一切の忖度なく、その料理が本当に美味しいのかをジャッジします。

先日放送されたガストの従業員イチオシメニューTOP10のジャッジでは、私たちの固定観念を覆すような、驚きと発見に満ちた結果が次々と飛び出しました。その結果は、ガストが抱える興味深いパラドックスを浮き彫りにしたのです。それは、人気トレンドへの過信という「最大の弱点」と、専門店の技術を貪欲に採り入れる「最大の強み」が同居する、洗練された食文化への進化の物語でした。今回は、その審査結果から見えてきた意外な真実を深掘りしていきます。

【早見表】ジョブチューンガスト2025ジャッジ結果

ジョブチューンガストジャッジ2025年11月放送回は前哨戦の1品を除いて、10品中5品が満場一致合格、4品が合格という素晴らしい結果でした。

順位商品名合格不合格ジャッジ結果
11位(前哨戦)モンブランパフェ満場一致合格満場一致
10位ビーフシチュードリア満場一致合格満場一致
9位チキン竜田タルタル合格合格5、不合格2
8位きのこのクリームパスタ合格合格6、不合格1
7位牛もつ焼き定食合格合格6、不合格1
6位低糖質麺のタンメン合格
5位うな重うなぎ2倍満場一致合格満場一致
4位豚バラチゲ満場一致合格満場一致
3位ガストバーガー満場一致合格満場一致
2位ビーフ100%ハンバーグ満場一致合格満場一致
1位チーズタッカルビ風ハンバーグ不合格合格3、不合格4

驚きのポイント1:最大の波乱!従業員イチオシ第1位が「不合格」

今回のジャッジで最大の衝撃は、従業員が最も自信を持って送り出した第1位のメニューが「不合格」となったことでした。そのメニューは「チーズONチーズINタッカルビ風ハンバーグ」。最終的なジャッジは、合格3名・不合格4名という厳しい結果に終わりました。

この料理は、12種類のチーズを中に包んだハンバーグの上に、さらにホワイトチェダーのソースをかけ、自家製のコチュジャンソース、キムチ、ナムルを添えた意欲作。チーズ、タッカルビ、ハンバーグという人気のキーワードをすべて詰め込んだ、まさに「全部のせ」のような一皿です。

しかし、プロの料理人たちは、その点こそが失敗の原因だと指摘しました。個々の要素は美味しいにもかかわらず、それらが一つの料理として調和しておらず、味がまとまっていないというのです。この点を的確に表現したのが、古屋壮一シェフのこの一言でした。

美味しいものが全部入っているが、まとまっていない。

この結果は、単なる「足し算の失敗」以上のことを示唆しています。これは、消費者に響く人気要素を組み合わせる「市場主導の商品開発」と、料理全体の調和と一つのビジョンを追求する「食の創作」との間の緊張関係を象徴する出来事でした。いくら魅力的なパーツを集めても、それらを束ねる確固たる哲学がなければ、傑作は生まれない。プロの厳しい視点は、その本質を私たちに突きつけたのです。

驚きのポイント2:ファミレスの常識を超えた?専門店の技術が光る「満場一致合格」メニュー

第1位のメニューが不合格となる一方で、今回の審査ではトップ10のうち実に5品ものメニューが、7名のシェフ全員から「満場一致合格」という最高の評価を受けました。この驚異的な結果は、ガストが単なるファミリーレストランの枠を超え、専門店レベルの技術と探究心で料理と向き合っていることを力強く証明しました。

特に称賛された2つのメニューを見てみましょう。

• ガストスマッシュバーガー: シェフたちが驚いたのは、パティを鉄板に強く押し付けて焼く「スマッシュ」という技法を採用していた点です。これは肉の香ばしさと食感を最大限に引き出す、ハンバーガー専門店の技術。さらに、あえてみずみずしいレタスではなく、食感の強い国産ケールを合わせることで、肉のジューシーさを際立たせるという計算された構成に、プロたちは感嘆の声を上げました。

• うな重 うなぎ2倍: シェフたちは、うなぎ自体の品質の高さに注目しました。その分厚い身としっかりとした食感は、ファミリーレストランで提供されるレベルを超えていると評価。ハンバーガーからうな重まで、多様なジャンルに本気で挑戦し、高いレベルで実現するガストの姿勢が絶賛されました。

スマッシュバーガーについて、古屋壮一シェフが語った以下のコメントは、プロからプロへの最大限の敬意が込められています。

ファミレスでハンバーグをスマッシュするという発想がすごい!ハンバーガー屋の仕事を、全店舗でブレなく出すのをどうやってやっているんだろう。

これらの成功例は、ファミリーレストランの料理が、家庭料理の延長線上にあるのではなく、確かなプロの技術と探究心に支えられていることを明確に示しています。

驚きのポイント3:成功の秘訣は「細部」にあり。職人技が光る完璧なマリアージュ

満場一致合格を獲得したメニューをさらに分析すると、超一流の料理人たちが「細部へのこだわり」と「計算された構成」を高く評価していることがわかります。彼らが称賛したのは、料理の「多次元的な設計思想」、つまり、味や香り、食感を幾重にも重ね合わせる技術でした。

その好例が、以下の2品です。

• 第10位 ビーフシチュードリア: シェフたちは、濃厚なビーフシチューとドリアの「完璧なマリアージュ」を絶賛。ただ乗せただけでなく、運ばれてきた瞬間にビーフシチューの香りが立ち、食べ進めると各層が絶妙に絡み合う。作り手の「こう食べてほしい」という明確な意思が伝わる、香りと味の「層」が見事に設計された一皿だと評価されました。

• 第2位 ビーフ100%粗挽き肉厚ステーキ風ハンバーグ: このハンバーグは、外側を粗挽き肉で包むことでワイルドな歯ごたえを生み出し、内側は練り時間を長くすることでジューシーさを閉じ込めるという二重構造になっていました。食感の「層」を巧みに作り上げていたのです。さらに、バルサミコ酢白味噌を加えて改良されたデミグラスソースが、その肉の旨味を最大限に引き出していました。

このハンバーグが持つ職人技と情熱を、堀江純一郎シェフは次のように表現しました。

歯触り、ワイルドさが感じられて、中にはジューシーさがあって、茶色い一つにロマンがある、職人として素晴らしいと思った。

これらの結果は、たとえ多くの人に提供されるマス向けの料理であっても、最終的な評価を決定づけるのは、目には見えない緻密な設計と、作り手の情熱であることを物語っています。

驚きのポイント4:「合格」の中にも厳しい指摘。超一流の視点とは

たとえ「合格」の札が上がったメニューであっても、プロのコメントには、彼らの驚くほど高い基準を垣間見ることができます。その鋭い指摘は、私たちに新しい食の視点を与えてくれます。

その代表例が、合格6名・不合格1名で「合格」となった**第8位「6種きのこと炙り生ハムのクリームパスタ」**です。

多くのシェフが、改良された自家製生パスタの食感や、きのこを煮詰めて作るデュクセルソースの深いコクを高く評価しました。しかし、唯一「不合格」の札を上げたラルジャンの加藤順一シェフの視点は、まさに超一流のものでした。

彼の指摘は、「提供温度が高すぎるため、テーブルに届いてからもソースの水分が蒸発し、味がどんどん濃縮されてしまう」というものでした。つまり、最高に美味しい「ピーク」は最初の一口だけで、食べ進めるうちに味が重くなり、本来意図されたバランスから離れていってしまうというのです。

一口目から最後の一口まで、料理がどう変化していくかを計算に入れる。このプロならではの視点は、料理の評価がいかに多角的であるかを示しています。ただ「美味しい」だけでなく、「なぜ美味しいのか」「どうすればもっと美味しくなるのか」を考えるきっかけを与えてくれる、非常に興味深い指摘でした。

ジョブチューンガスト2025ジャッジ結論

『ジョブチューン』におけるガストのメニュー審査は、私たちに多くのことを教えてくれました。そこには、人気トレンドを追い求めた結果の「過信」と、専門店の技術を貪欲に採り入れ、細部にまで魂を込める「職人技」という、進化の過程にある企業のパラドックスが映し出されていました。ファミリーレストランの厨房で繰り広げられる、知られざる挑戦と葛藤が垣間見えた瞬間でした。

次にガストを訪れるとき、あなたはどのメニューを試してみますか?そして、プロが指摘したその味の『理由』を、あなた自身の舌で見つけ出すことができるでしょうか?

参考:ジョブチューンガスト結果2025年11月。満場一致合格6品

-飲食チェーン